国政刻刻 台風15号から考える

2019年8月22日 カテゴリー:寄稿

さる8日から9日にかけて東京湾から千葉県に上陸し茨城県沖へと抜けた台風15号による大規模停電が千葉県内で続いています。執筆している19日時点で、停電した戸数は当初の約93万戸から約3万戸まで減少したものの、いまだに市民生活に大きな影響を及ぼしています。近代化された現代社会では停電によって断水したこと、スマホが使えずに情報が遮断されたこと、さらには夏場にエアコンが使えない生活のつらさなど、改めて私たちの暮らしの中で電気がいかに大切なものかを知ることとなりました。

停電の原因は、記録的な強風により鉄塔や電信柱が倒壊し電力の供給網が寸断されたことによるものですが、いったいなぜこれほど復旧に時間がかかっているのでしょうか。それは報道されているように、倒木が道路などをふさぎ現場への到達が遅れていることと、倒木そのものが架線を切断しているという二重の問題があるからです。あわせて国内林業の衰退により倒木の処理や伐採に慣れた専門家や技術者が減少し、思わぬ時間がかかっているといったことも指摘されています。

また被災地の房総半島では山武杉が有名ですが、今回の台風ではその多くが倒れました。なぜなら山武杉の多くは「溝腐れ病」という病気にかかっているからです。この病気にかかった杉は幹の中まで腐ってしまい、幹が中折れしてしまいます。実はこの問題が倒木処理を難しくしたのです。

千葉県では江戸時代から土壌に合わせた畑作農業をすすめながら、松・杉・ヒノキをバランスよく育成して林業を振興してきました。しかし戦後の木材需要の高まりで森林は伐採され、政策的に杉の一斉林づくりが奨励され今日にいたりました。安易な林業政策の過ちが「溝腐れ病」を引き起こし森林は放棄されてしまいました。今後も台風はやってきます。防災の観点からも林業の振興に努めてまいります。